読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

当てにならない映画メモ

つまらない?見方を変えれば面白い

哭声/コクソン

サスペンスと思わせて理屈では理解しえない世界へ引きずり込む作風はまるでデヴィッド・リンチを思わせます。共通するのは「真実への過信」ではないかと思います。科学的根拠でのみ真実を見出し、それを絶対的な真実だと思いこむことは思考の可能性を閉じて…

帰ってきたヒトラー

まず自国の最大の汚点をさらけ出し感傷的にならず中立的な視点でヒトラーを見つめることができるドイツ人の寛容さに敬意を払いたいです。 日本は夏になるとおぞましい映像がテレビで流れ、戦争を二度と起こしてはならないような気持ちになります。ただ、銃撃…

鉄くず拾いの物語

医療保険未加入のために医療を拒否された当事者が主演を務めるほぼドキュメンタリー映画です。日本人がイメージする貧困とは桁違いの過酷で悲惨な貧困に驚きました。カルチャーショックですね。 「ジョンQ」では、保険のランクが低くて子供が治療を受けられ…

この自由な世界で

単にシングルマザー奮闘記で終わるのかなと思いきや、子供の将来を思うあまり、不法入国者に仕事を斡旋する違法行為に手を染めていくのが何とも痛ましかったです。安く雇ってピンハネするわけです。自分の親や子供の学校の担任に育児放棄と責められている母…

マイケル・ムーアの世界侵略のススメ

邦題のセンスの無さには閉口ですが、内容はかなり身近な問題に迫っており、ヨーロッパ諸国に比べて日本は福祉政策がかなり遅れていることに驚きました。移民や人種の問題は別として、アメリカと日本の社会構造はそれほど大きな違いはなく、ある程度の豊かさ…

ノー・マンズ・ランド

ダニス・タノヴィッチ監督の初監督作品にしてアカデミー外国語映画賞を始めとする賞を総なめした名作を見直しました。今月はダニス・タノヴィッチ監督作品が二本も公開されるので復習です。 ユーゴスラビア紛争から始まる動乱に対する反戦が大きなテーマです…

映画は経済成長を促進する起爆剤

雑誌「映画芸術」を読んで、日本人は平均で年間一本しか劇場で映画を観ないことに驚きました。韓国や中国は税金対策として大企業が映画産業に多額の資金を投資して、大規模なプロモーションを仕掛け大きな利益を出し更に映画産業に投資する好循環が生まれて…

素晴らしきかな、人生

主演クラスの演技派俳優が多いので見応えはありました。話はストレートなんですが、抽象的な概念を擬人化してそれを演じるってアイディアはちょっと感情移入しにくかったです。でも、面白いアイディアなので心理学に少し興味が湧きました。 とりあえず映画の…

GONIN サーガ

氷頭を演じるために十年ぶりに復帰した根津甚八の圧倒的な存在感がこの映画を完全に支配していました。主人公の行動の動機になるなどキーポイントになるのは常に氷頭というのが良いですね。話の流れを止めず逆に加速させ更に奇妙な世界観を生み出す効果を持…

ラ・ラ・ランド

このスケールの大きさはなかなか邦画では味わえませんね。スクリーンが大きい映画館で観るのが良いと思います。最初のシーンを何度も観たいと思うはずです。 ミュージカルといってもダンスシーンがそれほど多くなく、脈絡もなく踊りだす気恥ずかしさはあまり…

きみはいい子

特別支援学級(特殊学級)を扱う映画は初めて観ました。自閉症の子を演じた加部亜門君の演技は素晴らしかったです。本当に自閉症の子なのかと思いました。自閉症の子と家庭事情に悩む子が平等に描かれている点が非常に良かったです。 迫真の演技で母親が娘を…

日本で一番悪い奴ら

外国人を相手にスリリングな取り引きができる精神力に驚きましたね。しかも、実話なのでさらに驚き。パキスタンとロシアまで不祥事に関わって来るので、国際的な背景にも注目できる傑作でした。 組織内での出世のために大罪を犯すことに罪悪感を覚えないのは…

愚行録

サスペンスなので内容には触れません。観た後に考察し合える映画なので数人で観るのがいいと思います。「淵に立つ」ほどの衝撃はないものの(洋画サスペンスでは普通にある様な衝撃レベル)じわじわと来る後味の悪さがありました。それにしても予告編で色々…

クリーピー 偽りの隣人

黒沢清監督はヒッチコックのドキュメンタリーに出たくらいのヒッチコックファンなので、何となく「サイコ」の雰囲気に似てました。映画の中間ポイントでいくつかのストーリーラインが交差し始めてラストに向けて速度が上がるのは気持ち良かったです。 起承転…

キャロル

ルーニー・マーラがどうしようもなく可愛かったです。あの目力を持つカメラ女子は反則!「ドラゴン・タトゥーの女」と同じ女優と思えません。 もうそれだけで大満足なのに、ケイト・ブランシェットの昔のハリウッドスターのような圧倒的な存在感にとどめを刺…

マリアンヌ

ロバート・ゼメキス監督といえば「フォレスト・ガンプ」や「ザ・ウォーク」のような畳みかけて来る詩的なナレーションが印象的でそれを楽しみにしていたのにナレーションすらないのは個人的には寂しかったのです。ひねりがないストーリー展開なので、様々な…

ちはやふる 上の句 下の句

ストーリー展開はよくある様な感じですが、映像表現がとにかく格好良い映画でした。二本続けて観れるほどの面白さがありました。 どっかで聞いた声がすると思ったら「君の名は。」の上白石萌音が出てました。三葉の声で上の句を聞くというのも一つの楽しみに…

サバイバルファミリー

矢口史靖監督の新境地と言える見応えのある映画でした。わざとらしい笑いを入れずさりげなく笑わせるのが良いです。音楽がほとんど流れず映像がドキュメンタリータッチというのも良いですね。台詞もシンプルでこれぞ映像芸術というものだよなと改めて思わせ…

「母と暮らせば」と「父と暮らせば」

「母と暮らせば」は、井上ひさしの戯曲「戦後命の三部作」の二部目にあたる映画です。一部目の「父と暮らせば」は黒木和雄監督が原田芳雄と宮沢りえ共演で映画化されています。「母と暮らせば」単品でも楽しめますが、「父と暮らせば」を観ておくと広島と長…

マグニフィセント・セブン

アメリカの現政権への皮肉が強烈な映画でした。 移民排除を突き付けてくる悪の親玉率いる軍隊に黒人とメキシコ人、東洋人、ネイティブアメリカン、戦争で心の傷を負った白人が戦いを挑むのです。悪い白人は全滅して移民たちは平和を取り戻すわけです。「荒野…

アイアムアヒーロー

走るゾンビとショッピングモール、戦う看護師と言ったら「ドーン・オブ・ザ・デッド(リメイク)」です。 「アイアムアヒーロー」は「ドーン・オブ・ザ・デッド(リメイク)」に人間を助ける半ゾンビのような存在が出現する「進撃の巨人」を始めとする少年漫…

終の信託

尊厳死を法的な観点からわりと中立な立場で描いていて学べることは多かったです。尊厳死と安楽死の違いも分かりました。 個人的には、尊厳死のあり方はこれからも揺らぐことなく現行のままであった方がバランスが取れているのではないかという結論に至りまし…

恋人たち

三人の人物のストーリーが同時に進み、最後まで大きく三人が絡むことはないのですが、共通する象徴的なアイテムが場面に表れることで、境遇は違えど心に抱える孤独は本質的には何も変わらないことが伝わってきます。三人の共通点を探すことがなかなか面白い…

虐殺器官

久しぶりにクリーンヒットなハードSFアニメでした。 攻殻機動隊のようなSFとは違い、アンドロイドやサイボーグなどの科学がメインではなく、化学と言語学がメインであるSFはかなり珍しいです。 www.youtube.com ある言葉の並びつまりは文法を繰り返し耳にす…

ブラインド・マッサージ

こんなに精神力を消耗する障害者ものの映画は初めてかもしれません。多くの当事者が全編にわたり俳優として登場する映画はかなり珍しいです。 視覚障害体験というとアイマスクを付けて歩くというのが多いのですが、あれはとても生温い体験なんだなと思いまし…

湯を沸かすほどの熱い愛

宮沢りえ、さすがの演技力という一言に尽きます。 話の内容は感動的で非常に良い映画ですが、緩和ケアをもう少し取り上げて、社会的なテーマを出すともっと作品に深みが出てきたのかなと思います。ライトなストーリーなので、幅広い年齢層が楽しめる映画だと…

アリスのままで

若年性アルツハイマーを患った言語学者をジュリアン・ムーアが見事に演じています。 中盤の自虐ネタを交えたスピーチが知的でとても"粋"に感じました。終盤、本人の苦悩にいたたまれなくなり観ているのがつらいシーンもありましたが、家族の連帯感に熱いもの…

あん

莫大な借金返済のために不自由な生活を送る青年と家庭事情のために高校進学を諦めている少女が、ある病気のために長年、社会から隔離されてきた老婆と触れ合うことで、生きる希望を見つけていく話です。 www.youtube.com 病気の知識が乏しいと差別が生まれる…

希望の国

原子力を描いた「生きものの記録」「ゴジラ」に肩を並べる名作です。 3.11から数年が経ち原発が再稼働したとある県で再び、震災が起き原発の爆発事故が発生するという話です。そういう設定にすることで、福島の原発事故がたった数年で過去のものになっている…

淵に立つ

この映画はキリスト教の考え方を知らないと理解できません。 監督の意図を理解するための肝心なラストシーンのオチを見届け終わらないうちに幕切れとなるためモヤモヤとする歯切れの悪さがある映画でした。 八坂(演・浅野忠信)は、善人を装い信仰を捨てさ…

ザ・コンサルタント

ボーンシリーズのマット・デイモン、リーチャーシリーズのトム・クルーズの二人はアクション映画のイメージが未だに定着してしないのですが、ベン・アフレックは生粋の肉体派なので打撃が本当に痛そうに見えて爽快感がありました。サヴァン症候群らしく計算…

永い言い訳

上映開始してから三か月経ちましたがかろうじて劇場で観ることができました。 片親を亡してと生活が立ち行かなくなるのを観て、待機児童の問題を早急に解決しなければならないと深刻に考えてしまいました。片親しかいない子供が夢を追えない社会は不公平です…

スポットライト 世紀のスクープ

これまで観た洋画のマイベストテンに食い込む大傑作でした。少数の取材班が巨大な権力の闇に立ち向かっていく姿に目頭が熱くなりました。一部の日本のマスコミの報道に呆れてしまうのは社会問題を解決に導こうとする意志を全く感じないからです。敵意を煽っ…

もらとりあむタマ子

前田敦子に何の思い入れもありませんが、意外に女優としてやっていくだけの才能はあるんだなと感心しました。元AKB48だという制約があり伸び伸びと俳優としての才能を磨けないのはもったいないと思います。たかがアイドルされどアイドルなわけですから、実力…

島々清しゃ

登場人物それぞれの過去を回想シーンを使わずに台詞のみで説明しているので、人物の背景をどのように想像するかによって印象が大きく変化する映画だと思います。ハリウッド映画に慣れていると回想シーンがないと物足りなさを感じると思います。個人的には想…

沈黙-サイレンス-

さすがマーティン・スコセッシ監督だけに話の進め方は上手いなと思いましたが、隠れキリシタンである弱い農民たちが虐げられるシーンが多くて精神的疲労が溜まり、ラストシーンで感動する余裕がなくなってしまいました。途中で席を立つ観客が何人かいたくら…

園子温という生きもの

「冷たい熱帯魚」を観て園子温監督を知ってからすっかり園ワールドの虜になりました。好きな監督だけに監督の発する言葉一つ一つに一々感動しました。 www.youtube.com 黒澤明や小津安二郎の映画は個性が強く誰の映画なのか前情報がなくても、また、初見にも…

ヒッチコック/トリュフォー

ヒッチコックの映画は「サイコ」「めまい」「鳥」しか観たことがありません。どの作品もお世辞にも面白いとは言えず、世界的に有名な理由が分からなかったのです。 このドキュメンタリー映画でマーティン・スコセッシ監督やデヴィッド・フィンチャー監督のイ…

ドント・ブリーズ

高評価のわりには普通のホラー映画にある様な展開で、あんまり怖くなかったです。。 ブレア・ウィッチ・プロジェクト以降、手ぶれ系のホラー映画がうんざりするほど作られましたが、久しぶりに落ち着いたカメラワークのホラー映画を観れたのは良かったです。…

ぼくたちの家族

ものすごいリアリティーのある映画でした。 いきなり難病を突き付けられて今すぐ入院だ手術だと言われても一般市民にはお金の余裕なんてないんですよ。入院費が払えないから医療介護制度の知識もないのに仕方なく在宅でのターミナルケアに突入するわけです。…

海賊とよばれた男

日本の石油事情について知る良いきっかけになる出光興産の創業者の出光佐三をモデルにした映画でした。劇中では出光ではなく國岡となっています。 監督は「ALWAYS三丁目の夕日」シリーズ、「永遠の0」の山崎貴監督です。 www.youtube.com 近代から冷戦までの…

砂上の法廷

絶対に騙されないつもりで注意深く観たのですが、まんまと監督の思う壺にはまりました。悔しい。オチ的にはそこまで難解でないものの、えっそっちの展開?と驚きました。主人公の言動をしっかり確認すれば、勘の良い人ならオチを見切れるのではないでしょう…

エベレスト

よくあるパニック映画と思いきや1996年にエベレストで起きた大量遭難事故をも基にしたえ基にした映画で、俳優もネパール側ベースキャンプから更に登った標高6000m付近で演技をするために一年間、トレーニングを積む(特典映像で確認)など本気度の高さが覗え…

ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅

子供向けの映画予告でしたが、ストーリーを追うのが意外と忙しいし、グロいシーンもそれなりにあり、小学校高学年から高校生向けの内容かなと思いました。第二次大戦後のニューヨークのマフィアを描いた映画のような霧が立ち込める暗い雰囲気と共にジャージ…

当てにならない2016年公開映画ベスト10

今年は2010年代最高の邦画の当たり年でした。ベスト10に4つも入りました。観れていないものも多いので正直なところ仮ランキングです。1位2位は動くことは有り得ませんが、それ以降の順位は変わる可能性は高いです。 未観の「スポットライト 世紀のスクープ…

アメリカン・ハッスル

いわゆるオールスター映画でした。皆さん、一度はヒーロー映画に出ていますね。 詐欺師がFBIに逮捕を見逃してもらう代わりに汚職政治家を摘発する話なんですが、途中の中だるみが猛烈な眠気を誘ってきました。70'sのヒットナンバーを連発して、コメディー…

ぼくは明日、昨日のきみとデートする

観たい映画の上映時間に間に合わず、適当に期待せず観たんですが意外に面白くて良くできた映画でした。切なさレベルが圧倒的に高く爽快感すら感じました。 「君の名は。」よりもこちらの方が本来の新海誠っぽい作風に感じてしまいました。 脚本の粗探しして…

家族はつらいよ

東京家族とキャストは同じで、設定を少し変える手法が小津安二郎そのものなんですが、演技がおおげさで二作目でもうマンネリ化してるのが否めません。 小津安二郎は毎回といってよいほど笠智衆らに全く同じ演技をさせて独特の間を観客に刷り込ませている分、…

海よりもまだ深く

柳楽優弥主演の「誰も知らない」以降、是枝監督は一貫して父親の影響力をテーマにしているわけですが、阿部寛を起用すると必ずそのテーマに磨きがかかりより一層面白くなります。 「海街diary」では広瀬すずの役の父親役(原作の設定上無理か)か堤真一の役…

ローグワン

ダースベーダ―がこれまでの作品で一番、凶悪に感じました。 ラストはシリーズのスピンオフとしてこうするしかないよなと納得はできました。 この直後にほのぼのとしたR2-D2とC-3POの冒険に繋がると思うと、あのコンビの危なっかしさが尚更、愛おしく思えまし…