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当てにならない映画メモ

つまらない?見方を変えれば面白い

哭声/コクソン

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サスペンスと思わせて理屈では理解しえない世界へ引きずり込む作風はまるでデヴィッド・リンチを思わせます。共通するのは「真実への過信」ではないかと思います。科学的根拠でのみ真実を見出し、それを絶対的な真実だと思いこむことは思考の可能性を閉じてしまうということを示しています。デヴィッド・リンチは無意識に潜むアイディアに信頼を置いており、彼の作品にはいつも思考の可能性を広げてもらっています。

思考の可能性を追及しているうちは、この作品の答えは出ることはないです。ある意味では思い込むことでしかこの作品の真実にはたどり着けないのですが、思い込みの真実にたどり着いた途端に思考の可能性を捨ててしまうことになるし、この作品の思考の可能性を捨ててしまった人達と同じ顛末を辿りそうで非常に恐ろしい気がします。マスコミの提示する真実を真に受けて思考の可能性を捨ててしまう傾向が日本人にもあるだけに尚更、恐ろしいです。

作りだされた真実を疑い、惑わされない信念を持たないと本当に怖いなという教訓的な映画です。作中、韓国人にとって反日教育により実体が掴みにくくなっている日本人が一方的に疑われていくのは、反日教育が思考の可能性を捨てさせる象徴だとナ・ホンジン監督が自国民を戒めているようにも思いました。日本人を色んな映画に出過ぎてそれこそ実体が掴めない國村準が演じているのがまた面白いです。