当てにならない映画メモ

つまらない?見方を変えれば面白い

わたしは、ダニエル・ブレイク

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障害が軽度であるとみなされて手当を受けられず、働こうにも医師には止められているので働けず一瞬にして貧困に陥る内部障害者が二児のシングルマザーや貧困ゆえに犯罪まがいの商売を始める若者と交流する映画であり、更に移民の問題も含まれておりテーマがかなり多いのですが台詞のうまさもありすんなりとメッセージが頭に響いてきました。下手なドキュメンタリーよりよっぽど心を動かす内容でした。無理やり泣かせる演出がないぶんドライな印象がありハリウッド型テンプレートに慣れている人は物足りなさを感じるかもしれません。でもこの物足りない感じが自分の生活における社会に対する無力感ややるさなさを煽り、かえって社会的な関心を増幅させるのです。

脇役がこれまでのケン・ローチ作品に出てきたキャラクターにどことなく似ていて、これまでの映画の要素が全て詰め込まれているような感じがしました。この映画で引退してしまうと思うと寂しいのですが、集大成にふさわしい映画でした。