当てにならない映画メモ

つまらない?見方を変えれば面白い

人生タクシー

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映画なのにあまりにも自然な台詞な上に監督が出てくるので映画とドキュメンタリーの境目が分からなくなるほどでした。更に言えば、説教じみていたり監督の主観的な主張が押しつけがましいということもなく、ドキュメンタリーよりもドキュメンタリーらしい映画でした。最初から最後まで見逃せない内容でした。イランの日常生活と社会情勢に鋭く切り込んでいます。海賊版DVDを販売することを文化活動だと言い放つ小人症のおじさんが愉快でした。監督の姪っ子のハナちゃんは将来、大物になる予感がしますが社会がそれを拒む気がするので何だかやるせないない。。

ドキュメンタリータッチの映画はヨーロッパでは主流ですが、ここまでドキュメンタリーとの境目が分からなくなるほどの映画はなかったので衝撃的でした。この映画の全てが演出だとしたら演技指導の天才ですね。新しい映画の可能性を提示したジャファール・パナヒ監督にはとにかく敬意を表したいです。

イラン政府から映画制作を禁止されているにも関わらず撮影を敢行したわけだから現場には鬼気迫る緊張感があったたろうに、それをどこか楽しんでいる監督の度胸は測りしれないです。この作品への思い入れをひしひしと感じることができました。