当てにならない映画メモ

つまらない?見方を変えれば面白い

虐殺器官

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久しぶりにクリーンヒットなハードSFアニメでした。

攻殻機動隊のようなSFとは違い、アンドロイドやサイボーグなどの科学がメインではなく、化学と言語学がメインであるSFはかなり珍しいです。

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ある言葉の並びつまりは文法を繰り返し耳にすると脳の働きが活性化する、もしくは感覚が麻痺することを研究していた言語学者が、ヒトラーの演説を分析することで虐殺することをいとわない人格を生み出す文法を発見してしまうというディストピアな話です。ミルグラム実験(アイヒマンテスト)に近いものがあり衝撃的でした。

サラエボ事件後、長く続いた分離主義・民族主義運動のムーブメントから起きたユーゴスラビア紛争の顛末、ハンナ・アーレントの著者「イエルサレムのアイヒマン―悪の陳腐さについての報告」を知っておくと、このアニメに描かれた恐ろしさがより理解できるのではないでしょうか。理解した上でのラストシーンは、絶句せざるを得ません。。

ただ、ミリタリーものとして観ると、リアリティーに欠ける点はいくつかありますが、細かい点はストーリー展開上の都合ということで目をつぶります。

フジテレビ系列「ノイタミナ」できわどいテーマの原作のアニメ化企画が通ったのが不思議です。「残響のテロㇽ」より格段にアブナイ橋を渡っている気がしました。

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