当てにならない映画メモ

つまらない?見方を変えれば面白い

キャロル

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ルーニー・マーラがどうしようもなく可愛かったです。あの目力を持つカメラ女子は反則!「ドラゴン・タトゥーの女」と同じ女優と思えません。

もうそれだけで大満足なのに、ケイト・ブランシェットの昔のハリウッドスターのような圧倒的な存在感にとどめを刺されました。「アビエーター」で演じたキャサリン・ヘプバーンのイメージにぴったりの格好良い女性ですよね。

魅力がある人を好きになることは自然なことでたまたまその相手が同姓だったという切り口はすんなりと感情移入できて良かったです。表情にこんなにも説得力を感じる映画にはなかなか出会えません。女性の内面を少しでも理解できたことは今後、人間関係を構築する上でプラスになると思いました。精神年齢が低い自分にとってルーニー・マーラと共に成長していくような感覚がありました。

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マリアンヌ

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ロバート・ゼメキス監督といえば「フォレスト・ガンプ」や「ザ・ウォーク」のような畳みかけて来る詩的なナレーションが印象的でそれを楽しみにしていたのにナレーションすらないのは個人的には寂しかったのです。ひねりがないストーリー展開なので、様々なドラマや映画を目にしている現代人には物足りなさを感じるかもしれません。

カサブランカ」を彷彿させるものがあり、それならいっそのこと「カサブランカ」をベースにもう少し入り組んだシナリオをロバート・ゼメキス監督に演出してもらいたかったなと思いました。

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ちはやふる 上の句 下の句

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ストーリー展開はよくある様な感じですが、映像表現がとにかく格好良い映画でした。二本続けて観れるほどの面白さがありました。

どっかで聞いた声がすると思ったら「君の名は。」の上白石萌音が出てました。三葉の声で上の句を聞くというのも一つの楽しみになると思います。

撮影当時、現役高校生であった広瀬すず上白石萌音の共演ということもあり、二十代の俳優が高校生役をやる不自然さがないフレッシュな青春映画となっています。「桐島、部活やめるってよ」「リトル・フォレスト」で印象的だった松岡茉優が最大のライバルを務めており、演技力の将来性を期待できる存在感がありました。

サバイバルファミリー

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矢口史靖監督の新境地と言える見応えのある映画でした。わざとらしい笑いを入れずさりげなく笑わせるのが良いです。音楽がほとんど流れず映像がドキュメンタリータッチというのも良いですね。台詞もシンプルでこれぞ映像芸術というものだよなと改めて思わせてくれました。何度も観たくなるとは言えませんが、一見の価値ありです。

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社会的、経済的、医療的な混乱を描いてテーマが増えすぎて訳分からなく映画よりも、電気が使えず困難に立ち向かう家族のみに焦点を当てているシンプルな映画の方が記憶には残ります。「ロッキー」だって恋人のために頑張る、ただそれだけの話なのに世界中の人が感動しているわけです。

それにしても、深津絵里は井戸端会議が似合わないですね。44歳に見えないです。

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矢口史靖監督のように自身のオリジナル脚本で映画を任せられる監督は日本にはあまりいません。30代前半でオリジナル脚本の「ウォーターボーイズ」をロングランヒットさせ、シネコンの普及に一役買った尊敬すべき監督の一人です。

2016年の「君の名は。」「シン・ゴジラ」「湯を沸かすほどの愛」などのヒット作はオリジナル脚本が多かったのでオリジナル脚本映画が増えると嬉しいのですが、今年は漫画実写化が多いので、増えるとしたら来年以降になりそうです。オリジナル脚本映画が増えると嬉しい理由は映画監督の個性が映画に強く反映されるからです。黒澤明監督や園子温監督のように原作を使いながらも原作を超えた映画を作れる場合もあるので、小説や漫画の映画化も決して悪くはないのですが、個性を邪魔することが多いです。

「母と暮らせば」と「父と暮らせば」

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「母と暮らせば」は、井上ひさしの戯曲「戦後命の三部作」の二部目にあたる映画です。一部目の「父と暮らせば」は黒木和雄監督が原田芳雄宮沢りえ共演で映画化されています。「母と暮らせば」単品でも楽しめますが、「父と暮らせば」を観ておくと広島と長崎の戦後の暮らしの違いが分かりより一層深く楽しめるのではないでしょうか。

「父と暮らせば」は原田芳雄宮沢りえ浅野忠信しか出てこない舞台調のスタイリッシュな映画で原田芳雄宮沢りえの才能がぶつかり合う様が圧倒的でした。広島といえば「仁義なき戦い」の熱いイメージがあり、激情ほとばしる演出は土地柄とシンクロしていて良かったです。広島のイメージは「この世界の片隅」でだいぶ変わりましたが。

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それに対して、「母と暮らせば」は山田洋次監督節全開で新旧国民的アイドルの吉永小百合二宮和也の共演に加え黒木華が出演しているため起伏が緩やかな映画でした。長崎は元々キリスト教の信仰が根強いので心穏やかな土地柄のイメージがあり山田洋次監督テイストが実にしっくり来ました。あくまでもイメージなので実際には違うのかもしれません。

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両作は「父を亡くした娘」と「息子を亡くした母」という対になる設定になっているのですが、「息子を亡くした母」の方が明らかに切なく「母と暮らせば」のラストは胸が張り裂けるほど悲しくなりました。その代わりに「母をもっと大切にしないとな」という気持ちが溢れてきました。

それにしても吉永小百合の若い頃の美貌は髪形さえ変えれば現代でも通用しますね。

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マグニフィセント・セブン

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アメリカの現政権への皮肉が強烈な映画でした。

移民排除を突き付けてくる悪の親玉率いる軍隊に黒人とメキシコ人、東洋人、ネイティブアメリカン、戦争で心の傷を負った白人が戦いを挑むのです。悪い白人は全滅して移民たちは平和を取り戻すわけです。「荒野の七人」より国際色豊かになっていました。

親玉が女性によって倒されるのは明らかに現政権への皮肉ですよね。悪い白人に従うネイティブアメリカンが「同胞の恥だ」と移民を助けようとするネイティブアメリカンに言わながら倒されるのも印象的です。

西部劇を観るとアメリカ人は元々移民なのに移民排除が支持されるのが不思議で仕方がないです。

アイアムアヒーロー

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走るゾンビとショッピングモール、戦う看護師と言ったら「ドーン・オブ・ザ・デッド(リメイク)」です。

アイアムアヒーロー」は「ドーン・オブ・ザ・デッド(リメイク)」に人間を助ける半ゾンビのような存在が出現する「進撃の巨人」を始めとする少年漫画の要素を加えただけなのでシナリオ的な新鮮さはありませんね。邦画にしてはカーアクションに見応えがありました。

ゾンビ物は「ドーン・オブ・ザ・デッド(リメイク)」で全てやり尽した感じがあり、それを越えるのはなかなか難しいですね。

ジョージ・A・ロメロ監督のドーン・オブ・ザ・デッド(オリジナル) 邦題:ゾンビ」は痛烈な消費社会への風刺が込められていて単に娯楽映画といえないのが面白いです。ゾンビとは、世界のあらゆる食料を食い尽くす私たちのことなのです。