ノー・マンズ・ランド
ダニス・タノヴィッチ監督の初監督作品にしてアカデミー外国語映画賞を始めとする賞を総なめした名作を見直しました。今月はダニス・タノヴィッチ監督作品が二本も公開されるので復習です。
ユーゴスラビア紛争から始まる動乱に対する反戦が大きなテーマですが、マスコミ批判も含まれているのが面白いポイントです。戦争は辛いから二度と起こさないと言いながら、戦争の火種になる石油製品を買い続けるという矛盾にも切り込む勢いも持ち合わせています。
ラストで核心をカメラに収めようとしないジャーナリストを見て、ニュースを譜面通りに咀嚼することの恐ろしさも感じられます。核心を憶測して物事を考えないように気をつけたいものです。
反戦を売り物にするマスコミとそれを消費するだけの一般人、そんなんじゃ戦争がなくなるはずない、そういう叫びがユーモアの中に潜んでいます。「不干渉も戦争に加担する行為だ」というセリフが重く響きました。